次の支援に移る前に必要な準備とは?
入院が決まった時から次の支援は始まっているといっても過言ではありません。退院直前に話を切り出されて慌てるよりも回復状況を予想して選択肢を多く持てるようにしておきましょう。
退院時の選択肢ですが、極論を言えば「自宅」か「それ以外」です。
では、自宅へ戻るとして考えるべきことは何でしょうか。先ほどの3つのポイントをもとに考えましょう。
①「移動」で考えるポイントは以下の点です。
- 屋外~玄関までの区間
・屋外の移動手段は何か。
・玄関の段差を自力で乗り越えられるか。できない場合は道具(手すりや踏み台)の使用などで改善できるか。 - 自室~トイレまたは食堂や浴室までの区間
・自室からトイレなどの各場所までの移動を「安全に」行えるか。杖やものづたい、手すりなどの移動補助は必要か。
・トイレや浴室内に手すりが必要か。
移動に関しては本人の「できる」は鵜吞みにしないことが重要です。
悲しいかな、高齢者の自己評価には「老いや疾病による衰え」というものを考慮に入れていないことが多く、だいたいが楽観的になりがちです。安全を度外視した「できる」と安全で確実な「できる」には天と地ほどの差があるということを知っておきましょう。
骨折して退院した高齢者が在宅復帰して、早々に転倒してまた骨折した・・・。なんていうことはよくあるのですが、だいたいが本人と家族の「できる」の見立てが甘いために起きるワケです。
②「食事」については「自身で食事の準備ができるか」が問題になります。先ほどの「移動」において、自立度が高ければ冷蔵庫の食材を出し入れしたり、電子レンジの使用などができるでしょう。
もし移動ができなくても大丈夫。今はケータリングや介護食品なども充実してきているので、結構なんとかなることが多いです。
③「排泄」で考えるのは次のポイントです。
- どこで排泄するのか?(トイレ、ベッド横の簡易トイレ、ベッド上でオムツ内の排泄など)
- 失禁をする可能性はどの程度か。就寝時だけなのか。日中もあり得るのか。
- 排泄動作に介助が必要か。
介助のポイントは「立ち座り」、「ズボン、下着の上げ下ろし」、「陰部の清拭」、「排泄後の後始末ができるか」など。 - オムツを使用するならその使用量はどれくらいになるか。
上記のポイントはあくまで最低ラインの生活水準と思ってください。
そのほかにも入浴などの衛生面や買物や病院受診など、在宅生活においてやるべきことは多いです。
ただし、入浴や買物は家族や介護サービスなどを活用することで何とかなります。
食べることと排泄すること、そして生活の基本となる移動、この3つが道具やサービスを活用しても成り立たない場合、残念ですが自宅での生活はお勧めできません。施設サービスを考えるべきです。
「何とか家族が頑張れば…」と思って妻(もしくは夫)が頑張って介護するケースもありますが、これも一時的であればよいですが、長期化するようならお勧めしません。
家族が疲弊し続けるような介護はすべきではないからです。
無理な介護は共倒れするのが関の山な上、最悪、要介護者が増える結果になりかねません。そうなるとその子供が次の支援者となり、一気に二人分の支援を考えないといけなくなります。
本人も家族も無理なく過ごせるよう、長期的視点を持った支援計画を立てましょう。
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