「認知症」って名称がわかりにくくしている原因だと思う
認知症について語る前に言いたいのです。「認知症って、言葉足らずな病名だな」と。
病気の中には病名を読み解いても症状がわかりにくいものが多いが、「認知症」はその中でも症状がわかりにくい病気のひとつだと思うんです。
なぜかというと、「認知」という言葉のわかりにくさに加えて、「認知症」は『「認知」がどうなるのか』が書いていないんですよ。
昔、認知症は「痴呆症」と言われていました。「呆けて、痴れ者(常軌を逸した愚か者)となる病」だから「痴呆症」という訳です。差別的要素が高い病名ではあるのですが、イメージしやすいということに関しては言い得て妙なネーミングだったと言えるでしょう。
しかし、差別的要素が強いことと病気のメカニズムがある程度解明されたため、痴呆症から認知症という病気に名称変更となったのですが、「認知」という言葉だけでは症状の説明が足りないために「認知症ってよくわからない病気」になってしまったのではないでしょうか。
だから認知症をよく理解するためには認知症に足りない言葉を足す必要があります。
つまり言いたいのは、認知症の正しい名称は「認知機能失調症」だと私は思う訳です。
認知機能とはなんぞや?
さて、先ほど認知症のことを「認知機能失調症」といったわけですが、そもそも「認知機能」とは一体何なのでしょう?
ざっくり言うと、認知機能とは主にこの4つで構成されるものだと考えられます。
- 記憶力・・・・・・・情報を覚えておく力
- 理解力、判断力・・・得た情報がどのようなものかを理解し把握する力
- 実行機能・・・・・・得た情報を「正しい順序で活用する」力
- 見当識・・・・・・・自身のいる場所や時間を認識する力
例えば、あなたは自宅のリビングでテレビ(夕方のニュース番組)を見ていたとしましょう。
その時のあなたは以下のことを無意識に「認知」しているのです。
1.あなたは目の前にある「物」が「テレビ」であることを知っていて、(記憶力)
2.手に持っているリモコンは「テレビのチャンネルを変えるもの」であるとわかっている。(理解力・判断力)
3.そして「リモコンのボタンを押してチャンネルや音量を変更します。」(実行機能)
4.「夕方のニュース番組」を「リビング」で観ているということを無意識で理解している。(見当識)
つまり認知症とは、上記のような普段は無意識に行っている認知機能のどれか又はいくつかができなくなっている(失調)状態の病気なのです。
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